研究Front Line

最先端の臨床研究

Bridge formation methodによる大腸ESD

阿部 正洋、林 武雅

大腸ESDは大腸特有の粘膜ヒダや屈曲及び腸管壁の薄さにより、内視鏡操作性の難しさや穿孔に伴う腹膜炎のリスクがあり依然として高難易度手技である。当センターでは大腸ESDを一定の安定、安全な手技とするべく、病変両サイドの正常粘膜の牽引力を利用する手法を用いており、Bridge formation method(以下BFM)と呼んでいる。

BFMの手技の手順は、1:病変肛門側に局注し病変径より大きい粘膜切開を行う、2:病変両サイドの粘膜切開を行わずに両サイドまで粘膜下層剥離を行い病変径より大きな空間を形成する、3:口側の粘膜切開を行い、tunnelを開通させBrideを形成する、4:両サイドの正常粘膜を粘膜下層側から切開し切除完了となる。

BFM施行群と非施行群の治療成績を比較する。
2009年1月から2019年3月の間、当院でESDが施行された全1668病変を対象とした。BFM群が916例、非BFM群が752例であった。
BFM群で一括切除率が高く、またSM高度浸潤癌に対して多く施行されているが有意差を持って平均剥離速度が速かった。

BFMはtraction deviceを使用せず、病変両サイドからのnatural tractionを利用した治療手技である。natural tractionによる牽引力により病変下で安定したスコープ操作が可能となり、適切な深度での剥離が容易となることから、通常の病変から巨大病変、線維化症例、SM高度浸潤例という困難例まで一貫して対応でき、汎用性の高い手法と考えられる。

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