内視鏡AIによる潰瘍性大腸炎の粘膜治癒の自動診断
前田 康晴/小形 典之
潰瘍性大腸炎(UC)の診療では,粘膜治癒が重要な治療目標です。粘膜治癒の診断には①白色光内視鏡による内視鏡的寛解②生検組織による組織学寛解の確認が必要です。粘膜治癒が確認できた患者は長期寛解状態維持が期待できることがトピックとなっています。
我々は2016年10月よりUCの組織学的治癒の予測に内視鏡AIの構築を試みてきました。現在までに、パイロット研究の結果を世界初のUCに対するAIを用いた内視鏡CADシステムとして論文発表。 (Maeda Y, Kudo SE, Mori Y, et al. Gastrointest Endosc. 2019) 2020年4月27日に念願の薬機法承認を取得、2021年2月からEndoBRAIN-UC(製造サイバネットシステム社・販売オリンパス社)として発売され、臨床導入されています。
臨床導入にあたり、EndoBRAIN-UCにて長期寛解維持予測が可能かを検証する前向き臨床試験を実施し現在、英文論文を投稿中です。 その前試験としてエンドサイトによるUC患者の長期寛解維持予測への有用性の検討を行い、内視鏡専門医の診断ではMayo内視鏡スコア1の粘膜治癒症例に対し長期寛解維持予測への有用性を認めました。(Maeda Y, Kudo SE, Ogata N, et al. Digestive Endosc.2020)
更に現在、汎用スコープを対象に白色光で内視鏡的寛解の自動診断を行うシステムの開発を行っており、AI内視鏡の潰瘍性大腸炎の内視鏡診療への更なる臨床応用を進めるべく小形典之先生を中心としたチームで研究を継続して行きたいと思います。