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臨床統計

昭和大学横浜市北部病院消化器センター臨床統計(2001年~2011年)

Shogo Ohkoshi : Summary of the Clinical Data 2011

大都会の中核病院たる本院、なかでもその中心である当消化器センターは相変わらず連日フル回 転操業を行っている。2011年1月、12月の外来者数と外来者数の変遷と月別を表1、表2 に示した。本年も例年通りの患者数であった。当消化器センターは北部病院全体の中でも患者数が多いため、医療の質を保ちながら、更に数をこなさなければいけないという緊張感を常に維持する必要があり、教室員は連日連夜、最大限の努力をもって診療を行っている。特筆すべきは、本年は入院患 者数が過去3年を超え、開院以来2番目の数値を記録したことである。連日のように治療困難例や重症例が入院してくる状況であり、さらなる人員の充実、受け入れ態勢の整備が望まれるところである。このように大学病院・ハイボリュームセンターとしての苦労はあるが、患者さまを中心にした、質、量ともに充実した医療を維持することが更に重要であると考える。

上部消化管内視鏡の検査・治療・手術において、検査数では2009年初めて8000件を超えたが、 2010年はさらに続伸を続け8757件、2011年は9000名を展望できる位置に立った。EMR、ESDともに順調に数を伸ばしている。井上教授らが開発した食道アカラシアに対するPOEM は2008年に始められたが、安全性や良好な成績が確立されたこともあり2012年9月段階で計266例を数え、 急激に増加している。今や日本全国から連日のように患者さまが訪れているが、先進医療に認可されたことにより更に患者数が増えることが予測される。

小腸の検査も時代の潮流に乗って増加している。カプセル内視鏡検査、バルーン内視鏡検査ともに順調に検査数を増やしている。

当消化器センターが世界に誇る下部消化管検査について述べる。2011年検査件数は約7000件で あり、過去最高の水準を記録した(開設以来検査数は5万件を遥かに超えた)。無論、当センターの大腸早期癌診断術は世界に冠たるものであり、その微細診断に基づいたEMRは順調に症例をこ なしている。注目すべきはESDが2011年は135例となったことである。本法が保険収載されたこともあり、今後さらに症例数の増加が期待される。当消化器センターは、拡大内視鏡、NBI、エンドサイトスコピーなど最新の診断を駆使し、可能な限り侵襲を最小限に抑えた治療を目指しており、あくまでも偶発症のない治療をめざしつつ細心・大胆に治療方針を実践している。大腸切除件数に関しては2009年には356件と過去最高を記録したが、2010年では手術枠、ベッド・コントロールなど問題があり、統計上は“ひと休み”状態で284件となった。しかし2011年は303例と増加に 転じており、全国有数の件数を誇っている。当消化器センター方針に沿って約70%が内視鏡下手術を行い、そのため他大学、全国から患者さまが紹介されてくる。

肝胆膵領域は、上部消化管・下部消化管に比べると検査・処置数は少ないものの、緊急時の検査を含めた対応や悪性度の高い疾患に対する高難度手術を適切に施行している。2011年の肝胆膵手 術症例数は179例でほぼ例年のレベルを維持した。近年、肝胆膵悪性疾患に対する複雑な手術症例の増加が目立つようになり、大学病院らしい高度な医療を担う施設として近隣より認知されてきたものと思われる。また、腹腔鏡下肝切除術が一部保険収載されて以来、肝胆膵領域も本格的な腹腔鏡下手術時代の幕開けを迎えている。現在肝切除の約半数を腹腔鏡下に行うまでになった。更に膵体尾部切除などにも腹腔鏡下手術が行われるなど確実に対象症例を増やしている。

(大越 章吾)

表1 消化器センター外来患者数(2001年~2011年)
表2 消化器センター入院患者数(2001年~2011年)
図1 上部消化管─検査と手術
図2 胃癌・食道癌手術(開腹・開胸と内視鏡下手術)
表3 食道アカラシアに対するPOEM(per-oral endoscopic myotomy)
図3 下部消化管─検査件数、内視鏡治療、手術数
図4 大腸ESD件数
図5 大腸癌の治療法
図6 早期大腸癌の治療法
図7 小腸:カプセル内視鏡
図8 小腸:バルーン内視鏡
図9 肝・胆・膵─ 検査・治療・手術
図10 肝・胆・膵外科手術
図11 年度別手術症例数
図12 臓器別手術の年次推移