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臨床研究内容

Endocytoscopy
―従来のプレパラート診断を凌駕するendoscopic pathology

拡大内視鏡によるpit pattern診断は確立され、大腸腫瘍診断学の飛躍的な向上に貢献してきた。当施設ではさらに、超拡大内視鏡(endocytoscopy:EC)を用い、大腸腫瘍の細胞異型や核異型を生体内で観察し、その有用性について検討を重ねている。

 われわれは、まず一体型EC(CF-Y0020, Olympus)を用いて通常観察や80倍の拡大内視鏡観察を行う。次に1%メチレンブルーで染色した後、対象病変に接触し、拡大レバーでさらに倍率を引き上げることで約450倍の超拡大内視鏡画像の観察を行う。そして、超拡大内視鏡画像の腺腔縁や核の形態などに注目し、超拡大内視鏡分類(EC分類)を行っている。EC分類は、EC 1を非腫瘍とし、腫瘍をその病変の異型度にあわせてEC 2-3に分類したものであり、われわれの検討では病理組織診断と高い整合性が得られた(Endoscopy 2011;43:869-875、図1)。また、ECの生検に対する診断能の非劣性も証明され、臨床応用としての位置づけも認められた(Endoscopy 2013;45:95-105)。

 しかし、ECは、単にoptical biopsyとしての役割を担うだけにとどまらない。ECは生きた腫瘍細胞の核およびその動きをreal timeに観察可能であり、ホルマリン固定後標本を対象とした従来の病理診断とは、まったく異なった診断学(endoscopic pathology)である。今後の展望として、赤血球そのものの流れをdynamicに観察できることから得られる情報により、血管診断学への詳細なアプローチが期待される。現在、われわれは、大腸腫瘍の血管形態を3つに分類し、異型度や深達度との相関性について検討を行っている(EC-V、図2)。さらに、早期大腸癌の転移症例に焦点をおいて、ECによる転移の診断を可能にすべく、今後も症例を重ね検討していきたい。

(若村 邦彦)

図1
Endoscopy誌(2011; 43: 869-875)にKudo S-E, et al: Diagnosis of colorectal lesions with a novel endocytoscopic classification-A pilot studyが掲載された。なお表紙の写真は同上論文で使用された写真
図2