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臨床研究内容

秋田から世界のエビデンス―大腸癌で死なせない
―厚労省班研究:「大腸内視鏡検査による大腸がん検診の有効性評価」研究
(主任研究者:工藤進英)

「大腸内視鏡検査による大腸がん検診の有効性評価」研究(主任研究者:工藤進英教授)が正式発足し、4年が経過した。これは逐年便潜血検査群(FOBT群;非介入群)と、逐年FOBTに1回の検診大腸内視鏡検査(total colonoscopy ;TCS)を併用する介入群を無作為割付により設定し、プライマリ・エンドポイントとして大腸がん死亡率を比較することでTCSの有効性を評価する研究である。

仙北市立角館総合病院をTCS実施施設とし、初年度は仙北市を対象に開始された。2011年度より大仙市中仙・太田地区、2012年度より大仙市全域に対象地域を拡大した。2012年12時点で総数5,001名がリクルートされた。検診TCSによる偶発症は認めておらず、盲腸到達率は99.6%である。盲腸到達率は過去の海外の報告と比較すると驚異的な数値であり、市立角館総合病院で内視鏡を実施している当センター派遣医師の精進の賜物である。また、現在被験者の約1%である45例の大腸癌が発見されており、検診の効果がみられている。

大腸癌は全世界での罹患率が男女とも第3位である(GLOBOCAN2008)ことから大腸癌の予防は世界的な関心が非常に高い。CT colonographyなど新たなdeviceも登場しているが、死亡率減少効果が示されているのはFOBTとSigmoidoscopyのみである。本試験はFOBTと比較した第Ⅲ相のランダム化比較試験であり、結果が全世界に与えるインパクトは大きい。現在欧米諸国で類似のランダム化比較試験が進行しているが、本試験と比較するとランダム化に問題があり、また挿入・診断の質という点からも本邦、そして当施設が中心となって行うことに大きな意義がある。

目標サンプルサイズである10,000名に向けて、仙北・大仙市の行政と協力しながら研究を遂行していく。

(児玉 健太)

写真;2012年(平成24年)5月大仙市市民公開フォーラムにて
主任研究者の工藤進英先生と分担研究者の斎藤博先生(国立がん研究センターがん予防・検診研究センター)